研究顧問浅野慎一先生顧問就任のご挨拶

2025-11-24 09:20

 このたび、中国残留邦人・在日華人研究所の研究顧問を拝命いたしました。顧問にふさわしい人格や識見を備えているとは到底存じませんが、本研究所の活動に微力ながら貢献できますよう努める所存です。

 中国残留邦人・帰国者をめぐる諸問題は、現在、歴史的・社会的に大きな転換点を迎えています。

 残留邦人一世とその配偶者の方々は、言うまでもなく超高齢となっています。日本国内はもとより、中国に在住されている方も含め、尊厳ある人生をまっとうしていただくために、早急に解決されるべき課題が山積しています。また、そうした方々が歩まれてきた人生の軌跡を正確に記録し、後世に伝えることも、喫緊の重要課題となっています。

 さらに現在、中国帰国者の二世に関する問題も、重要な解決課題として立ち現れています。多様な背景をもつ二世は、一方でこれまでの日本人や中国人には果たすことができなかった新たな可能性を切り拓いています。しかし他方では、残留邦人と同様、あるいはそれ以上に深刻な「生きづらさ」を、世代を越えて受け継いでいます。そしてこうした多様性は、三世・四世においても顕著になりつつあります。

 中国残留邦人・帰国者に関する研究も、日中双方の若手・中堅の研究者によって着実に進められ、新たな知的地平を切り拓きつつあります。しかし「学海無涯苦作舟」、研究とはつねに無限の現実に対する有限の人間による投企です。研究者は誠実であろうとすれば、迷い、行き詰まり、自らの無力さを思い知らねばなりません。そのような時、新たな舟を作るには、研究者仲間の協力とコミュニティが不可欠です。

 そして中国残留邦人・帰国者の問題に取り組む研究者・実践者の皆様は、それぞれの立場から、社会に厳存する理不尽・不正義を問い直し、より良い社会を創り上げていこうという志を共有していると思います。

 私も微力ながらその一翼を担うとともに、若い世代の皆様とともに学び、成長してまいりたいと念じております。今後とも、何卒よろしくお願い申しげます。


 摂南大学教授・「中国残留日本人孤児を支援する兵庫の会」世話人代表 

     

 浅野慎一


参考リンク・その他

公開されているホームページ

「尊厳ある和解を求めて」http://dignity-reconciliation.jp/


著書

浅野慎一『シン・日本外史―「日本国/日本人」はどこから来たのか、何ものか、どこへいくのか』、昭和堂、2024

浅野慎一・佟岩『中国残留日本人孤児の研究:ポスト・コロニアルの東アジアを生きる』御茶の水書房 2016

関亜新・張志坤(佟岩・浅野慎一監訳)『中国残留日本人孤児に関する調査と研究』不二出版 2008

浅野慎一・佟岩『異国の父母-中国残留孤児を育てた養父母の群像』岩波書店 2006

その他