研究顧問藤沼敏子先生顧問就任のご挨拶

2025-10-22 15:12

 このたび、中国残留邦人・在日華人研究所の顧問をお引き受けすることとなりました。若い方にお願いすべきではないかと迷いましたが、「これまで通り、時折お会いして中国帰国者問題について語り合えれば」とのお言葉に背中を押され、その役割を担わせていただくことにいたしました。

 崔先生との出会いは、偶然が幾重にも重なった不思議なご縁でした。私の友人も巻き込んで何度か語り合ううちに、自然と同志として信頼を寄せるようになりました。崔先生は、わずか3年間で250名以上の中国残留邦人に取材を重ねられたとのこと。オーラルヒストリーの重要性を深く理解し、切迫した時間の中で、情熱と若さと勢いをもって取り組まれる姿に、心から敬意を抱いております。

  一方、私は30年以上かけて278名の方々に取材をしてきました。数だけを比べればほぼ同じですが、崔先生のその速さは驚異的で、先生は私の10倍の速さです。近年は諸事情により取材も難しくなっております。しかし、長年にわたり多くの中国残留邦人や支援者の方々と出会い、貴重な資料や知見を授かってきました。しかし残念なことにその多くの方が鬼籍に入られてしまいました。中国残留孤児問題全国協議会の代表であった庵谷巌さんをはじめ、先達の支援者の方々から教わったことは、今も私の中で生き続けています。

 その蓄積を、次の世代へと繋いでいくことが、今の私にできる大切な役割だと感じています。「大地の子」や「12人の強行帰国」を知らない世代からの問い合わせも増えてきました。共通認識の土台がないまま新しい知を築こうとすることの危うさを、近頃とみに感じています。先達たちがどのように道を切り開いてきたのか、中国残留邦人たちがどのような人生を歩んできたのか——その記録と記憶を、崔先生がこの研究所を通じて若い人々に橋渡ししてくださることを、心から期待しています。

 私自身も、微力ながらその一助となれるよう、これからも学び合い、語り合い、未来へと繋いでいければと思っております。


 参考リンク

 ①公開されているWAN(ウイメンズアクションリサーチ)での最終講義。上野千鶴子先生との30分のトークもあります。https://wan.or.jp/article/show/12101

 ②ホームページhttps://kikokusya.wixsite.com/kikokusya

 ③ブログhttps://ameblo.jp/tontodo/

 ④論文「年表:中国帰国者問題の歴史と援護政策の展開」(中国帰国者定着促進センター紀要) https://www.kikokusha-center.or.jp/resource/ronbun/kiyo/06/html/612.htm