河合 弘之 弁護
小野寺 利孝 弁護士
藤沼 敏子 オーラル・ヒストリアン
浅野 慎一 摂南大学特任教授
斉 紅深 オーラル・ヒストリアン

藤沼敏子先生顧問就任のご挨拶       

 このたび、中国残留邦人・在日華人研究所の顧問をお引き受けすることとなりました。若い方にお願いすべきではないかと迷いましたが、「これまで通り、時折お会いして中国帰国者問題について語り合えれば」とのお言葉に背中を押され、その役割を担わせていただくことにいたしました。

 崔先生との出会いは、偶然が幾重にも重なった不思議なご縁でした。私の友人も巻き込んで何度か語り合ううちに、自然と同志として信頼を寄せるようになりました。崔先生は、わずか3年間で250名以上の中国残留邦人に取材を重ねられたとのこと。オーラルヒストリーの重要性を深く理解し、切迫した時間の中で、情熱と若さと勢いをもって取り組まれる姿に、心から敬意を抱いております。

  一方、私は30年以上かけて278名の方々に取材をしてきました。数だけを比べればほぼ同じですが、崔先生のその速さは驚異的で、先生は私の10倍の速さです。近年は諸事情により取材も難しくなっております。しかし、長年にわたり多くの中国残留邦人や支援者の方々と出会い、貴重な資料や知見を授かってきました。しかし残念なことにその多くの方が鬼籍に入られてしまいました。中国残留孤児問題全国協議会の代表であった庵谷巌さんをはじめ、先達の支援者の方々から教わったことは、今も私の中で生き続けています。

 その蓄積を、次の世代へと繋いでいくことが、今の私にできる大切な役割だと感じています。「大地の子」や「12人の強行帰国」を知らない世代からの問い合わせも増えてきました。共通認識の土台がないまま新しい知を築こうとすることの危うさを、近頃とみに感じています。先達たちがどのように道を切り開いてきたのか、中国残留邦人たちがどのような人生を歩んできたのか——その記録と記憶を、崔先生がこの研究所を通じて若い人々に橋渡ししてくださることを、心から期待しています。

 私自身も、微力ながらその一助となれるよう、これからも学び合い、語り合い、未来へと繋いでいければと思っております。

 参考リンク

 ①公開されているWAN(ウイメンズアクションリサーチ)での最終講義。上野千鶴子先生との30分のトークもあります。https://wan.or.jp/article/show/12101

 ②ホームページhttps://kikokusya.wixsite.com/kikokusya

 ③ブログhttps://ameblo.jp/tontodo/

 ④論文「年表:中国帰国者問題の歴史と援護政策の展開」(中国帰国者定着促進センター紀要)  https://www.kikokusha-center.or.jp/resource/ronbun/kiyo/06/html/612.htm

浅野慎一先生顧問就任のご挨拶

 このたび、中国残留邦人・在日華人研究所の研究顧問を拝命いたしました。顧問にふさわしい人格や識見を備えているとは到底存じませんが、本研究所の活動に微力ながら貢献できますよう努める所存です。

 中国残留邦人・帰国者をめぐる諸問題は、現在、歴史的・社会的に大きな転換点を迎えています。

 残留邦人一世とその配偶者の方々は、言うまでもなく超高齢となっています。日本国内はもとより、中国に在住されている方も含め、尊厳ある人生をまっとうしていただくために、早急に解決されるべき課題が山積しています。また、そうした方々が歩まれてきた人生の軌跡を正確に記録し、後世に伝えることも、喫緊の重要課題となっています。

 さらに現在、中国帰国者の二世に関する問題も、重要な解決課題として立ち現れています。多様な背景をもつ二世は、一方でこれまでの日本人や中国人には果たすことができなかった新たな可能性を切り拓いています。しかし他方では、残留邦人と同様、あるいはそれ以上に深刻な「生きづらさ」を、世代を越えて受け継いでいます。そしてこうした多様性は、三世・四世においても顕著になりつつあります。

 中国残留邦人・帰国者に関する研究も、日中双方の若手・中堅の研究者によって着実に進められ、新たな知的地平を切り拓きつつあります。しかし「学海無涯苦作舟」、研究とはつねに無限の現実に対する有限の人間による投企です。研究者は誠実であろうとすれば、迷い、行き詰まり、自らの無力さを思い知らねばなりません。そのような時、新たな舟を作るには、研究者仲間の協力とコミュニティが不可欠です。

 そして中国残留邦人・帰国者の問題に取り組む研究者・実践者の皆様は、それぞれの立場から、社会に厳存する理不尽・不正義を問い直し、より良い社会を創り上げていこうという志を共有していると思います。

 私も微力ながらその一翼を担うとともに、若い世代の皆様とともに学び、成長してまいりたいと念じております。今後とも、何卒よろしくお願い申しげます。


 摂南大学教授・「中国残留日本人孤児を支援する兵庫の会」世話人代表      

 浅野慎一

参考リンク・その他

公開されているホームページ

「尊厳ある和解を求めて」 http://dignity-reconciliation.jp/

著書

浅野慎一『シン・日本外史―「日本国/日本人」はどこから来たのか、何ものか、どこへいくのか』、昭和堂、2024

浅野慎一・佟岩『中国残留日本人孤児の研究:ポスト・コロニアルの東アジアを生きる』御茶の水書房 2016

関亜新・張志坤(佟岩・浅野慎一監訳)『中国残留日本人孤児に関する調査と研究』不二出版 2008

浅野慎一・佟岩『異国の父母-中国残留孤児を育てた養父母の群像』岩波書店 2006

その他